読書日和

読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。




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「虹色天気雨」 大島真寿美

2008-02-28-Thu
虹色天気雨虹色天気雨
(2006/10/20)
大島 真寿美

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ある日突然、幼なじみの奈津の夫・憲吾が姿を消した。
市子は、夫捜しに奔走する奈津から一人娘の美月を預かる。
女性の影もちらつく憲吾の失踪だったが、市子も、まりも、三宅ちゃんも、
究さんも、土方さんも、いつもと変わらず、美月の運動会に集まった。
事態はやがて、市子の元恋人も登場して意外な展開を迎える。〜amazonより〜

主人公の市子は離婚した後ずっと独り暮らし。近所に住む幼なじみの奈津は
結婚して美月という小学生の女の子に恵まれているが、夫が突然行方知れずに。
まりには旭というカメラマンの恋人がいるものの、あまりうまくいってはいない様子。

この3人の友情が中心に話は進んでいきます。
ただ友情といっても、それぞれが仕事をして、恋もして、傷ついてもその直し方も
知っている年齢であるため、 決して直接「頑張れ」なんて言わない、ほどよい
距離感を保ちつつ心配したりおせっかいをやいたりする関係が素敵

ありふれた日常の生活を書き綴ったような雰囲気と、奈津の夫を探す過程で
つながる人間関係のようなちょっとした非日常とのバランスがうまいですし、
奈津の娘・美月が母親の友だちに囲まれて、ちょっと大人びているけれど
すくすくと育っていく感じも良かったです。
特に、美月の運動会に市子やまりをはじめとした友人たちが集まって、応援
なんてそっちのけで盛り上がるシーンが印象的でした。

シビアな状況だけどほんわか、そんな大島さんらしさの詰まった作品でした。。

「浮世でランチ」 山崎ナオコーラ

2008-02-27-Wed
浮世でランチ浮世でランチ
(2006/09/12)
山崎 ナオコーラ

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明日の私は、誰とごはんを食べるの?人が人と関わる意味って、何?
25歳の私が“世界”に触れる、一瞬の奇跡。
『人のセックスを笑うな』の著者が贈る文藝賞受賞第一作。〜amazonより〜

人とうまく付き合うことのできない(というか、付き合いたいとも思っていない)
丸山君枝・25才は、3年勤めた会社を辞め、タイに旅立ちます。
その旅の様子と、彼女の中学時代の思い出が交互に語られていきます。

現在の君枝。同僚達との無意味なおしゃべりをしながらのランチに飽きて、
一人でコンビニのお弁当を買い公園でお昼を食べています。
そんな君枝のことを気にかけてくれているミカミさんとは、君枝がタイに
旅立ってからも交流が続きます。

中学生の頃の君江。やはりクラスになじもうとせず、何人かの仲間達もみな、
独自の世界観を持っているいわゆる変わり者でした。
神様と会ったことがあるというタカソウ。幼馴染の犬井。犬井が好きな新田。
野球部の鈴木君。5人の遊びは"宗教ゴッコ"でした。

そんな中学時代を思い返しながら、君枝の旅は続いていきます。
そして、旅から帰ってきた君枝はまた浮世でランチをしなければなりません。
でも、君枝の心にはささやかな変化が訪れていました。
個性と協調性。誰かともっと話したいと思う気持ち。他人と関わることの意味。
そういうことを考えさせられた一冊でした。

山崎さんが書く文章はひとつひとつが短めで濃いのが特徴的。
『自分の成長は、自分しか期待していないことだ。
どう成長したらこの世界を生き抜くことができるか、自分で考えなくては。』
とか、かなり好きです。。

「けもの道」 小川内初枝

2008-02-25-Mon
けもの道けもの道
(2004/10/25)
小川内 初枝

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義理の兄妹でありながら長い恋人同士の多磨美と敏雄。
倦怠しつつも依存する二人に甦る過去。業の深さが日常になった関係を
印象深いラストと凝縮した描写で綴る表題作ほか1編を収録。
第18回太宰治賞受賞後、初の作品集。〜amazonより〜

表題作の「けもの道」は、義理の兄弟である多磨美と敏雄の物語。
ふたりは再婚した両親のそれぞれの連れ子として出会い、恋人関係に
なります。やがてそんな関係が両親にばれて、多磨美は家を出ることに
なるが、ふたりの関係は続き・・・というストーリー。

ストーリーだけをみると、生理的に受けつけない方もいるかもしれません。
私も得意なタイプの話ではありませんが、なぜかどろどろした感じは
しなかったんです。とても雰囲気のある作品でした。
"暗い・重たい"というよりは"静か・だるい"というか。。。

それに決してふたりの恋愛模様を描きたかったのではないと思うんです。
それよりも、普通に見える家族の裏側にも様々な影が在ることや、
腐れ縁や惰性は果たして愛情なのかということについて
考えさせられました。

「青空チェリー」 豊島ミホ

2008-02-22-Fri
青空チェリー青空チェリー
(2002/09)
豊島 ミホ

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入学して1ヶ月、うちの予備校の隣にラブホが建った。
以来あたしは屋上からのぞきちゃんな日々。ゆるしてちょうだい、だって
あたし18さい。発情期なんでございます…。
第1回女による女のためのR‐18文学賞読者賞受賞作。〜amazonより〜

"女による女のためのR-18文学賞"で読者賞を受賞した「青空チェリー」、
戦時下の恋を描いた「ハニィ、空が灼けているよ。」、
中学のころの恋心を抱き続ける青年の「誓いじゃないけど僕は思った」
の3編が収録されています。

素朴な学生たちの恋愛を描いた「檸檬のころ」の印象が強いので、
様々な作風を持っているんだなぁと、豊島さんの幅の広さを感じました。

表題作の「青空チェリー」。
予備校生のあたしは、その屋上に通う日々を送っています。
なぜならラブホテルを覗けるから
そしてある日、屋上で本橋くんに出会います。ふたりは一緒に覗きを
しているうちに、いつの間にか隣にいることが当たり前になっていき・・・。

R-18小説ということでかなり覚悟して読んだのですが、
出会いこそ風変わりなものの、あっけらかんとした明るさがあり、
キュートな恋愛小説といった感じで好感が持てました。
男の人が読んだら、どういう感想を持つんでしょうか。。。

「風味絶佳」 山田詠美

2008-02-22-Fri
風味絶佳風味絶佳
(2005/05/15)
山田 詠美

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「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。
孫にグランマと呼ぶことを強要する祖母・不二子は、真っ赤なカマロの
助手席には若いボーイフレンドを、バッグには森永のミルクキャラメル
を携え、70歳の今も現役ぶりを発揮する--。
山田詠美が作家生活20年目に贈る贅を尽くした最高傑作。
〜amazonより〜

表題作「風味絶佳」。
主人公・志郎。高校卒業をして、進学を希望する親の反対を押し切って
働き始めたのはなぜかガソリンスタンド。
そのときに親を説得してくれたのが、祖母・不二子でした。

不二子にレディーファーストを教え込まれたため、何事に対してもとにかく
優しい(優柔不断な?)志郎が、不二子の過去、バイト仲間の乃里子との
恋などを通して一歩ずつ大人の男になっていく様子が描かれています。

自分のことを「グランマ」と呼ばせ、志郎の恋愛にも的確なアドバイスを
おくるファンキーな不二子がとてもカッコ良くて素敵でした。
映画版ではグランマ役が夏木マリさんだそうで、ぴったりだと思います。

この表題作のほかに、「間食」「夕餉」「海の庭」「アトリエ」「春眠」の6つの
短編が収録されています。
そしてどの話にも、とび職、ごみ収集の作業員、引越業者など肉体のスキル
を生業とする男性が登場し、男性らしい仕事を持つ彼らの、風味豊かで
味わい深い恋愛が堪能できる1冊です。

「海と川の恋文」 松本侑子

2008-02-20-Wed
海と川の恋文海と川の恋文
(2005/12/01)
松本 侑子

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忘れられるものなら忘れたい。人生をかけたこの恋の行方は--。
谷川と如月からアプローチを受けた大学生の遥香。谷川を選んでまもなく、
思いがけず芸能界への道が開ける。心ならずも別れた二人だったが、
運命は遥香を如月との結婚へと導く。真実の純愛小説。〜amazonより〜

とても素敵なタイトルと装丁に惹かれて手に取った本です。

主人公は、大学に入学したばかりの遥香。そこで出会ったふたりの男性から
愛され、これが17年間忘れられない恋とすれ違いの始まりに。。。

遥香は、有名作家の息子である修平と、どこか翳りのある徳明の間で
揺れ続けます。そして、彼女が類まれなる美貌の持ち主で
思いがけず芸能界に入るあたりから物語は一気に加速していきます。

芸能界、難病、妊娠・・・。穏やかな装丁とはだいぶイメージが違う
さまざまな出来事が遥香の身に起こります。
まるで韓流ドラマや昼ドラのようであまり感情移入はできませんでしたが、
"タイミング"や"運命"について考えさせられる本でした。
タイミングを逃しているようで、流されるように生きているようで、
それも運命なのかもしれないな、と。

「ぼくらのバス」 大島真寿美

2008-02-20-Wed
ぼくらのバス (ピュアフル文庫 お 1-1)ぼくらのバス (ピュアフル文庫 お 1-1)
(2007/05)
大島 真寿美

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暇を持て余していた小学五年生の加納圭太は、弟の広太を誘い、昔通った
「バスの図書館」へ行ってみる。管理人のおじいさんが亡くなって以来
使われずにいたそこは、かつての面影を失い荒れ果てていた--。
少年たちの成長が瑞々しく描かれた、ひと夏の青春ストーリー。
〜amazonより〜

主人公は小学5年生の圭太。ある夏の日、圭太は弟の広太とともに
昔通った「バスの図書館」に行くことを思いつきます。
しかしそこは、床も本もほこりまみれで当時の輝きを失っていました。

呆然とするふたりでしたが、床の雑巾がけに、窓拭き、本棚の整理・・・と、
力を合わせてバスをきれいにしてゆきます。
それから、毛布やオセロ、お菓子などを持ち込んで、そこは徐々に
ふたりの"秘密基地"になっていきました

近所なんだけど自分たちしか知らない場所。もちろん両親には内緒。。
こういう場所って、誰にでもあったんだろうなーと思いました。
私にとっては、近所の空き家です。な、懐かしい☆

ナゾの中学生・順平との出会いやおばあさんとの再会などを通して、
ひと夏が過ぎてみたらちょっぴり成長していた圭太と広太。
でもそれらは偶然なんかじゃなくて、バスの図書館やおじいさんとの
思い出を、それぞれが大切に抱き続けていたからだと思います。
なんだかとてもピュアな気持ちになれる一冊でした。
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