読書日和

読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。



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「檸檬のころ」 豊島ミホ

2007-07-18-Wed
檸檬のころ檸檬のころ
(2005/03)
豊島 ミホ

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かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。
田んぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る
青春の物語。〜amazonより〜

地方の高校を舞台にした、高校生たちの短編連作集です。
好きだった3つの話の感想を。。

「タンポポのわたげみたいだね」
授業を受けられなくなってしまった友達・サトとの関係に悩む主人公・橘。
周りから、橘はカワイイ子、サトはさえない子と思われています。
橘にとってサトへの心配がだんだん重荷になっていくのがとてもリアルでした。
それを感じ取っていたサトが言うラストのセリフがとても切なかったです。

「ルパンとレモン」
中学時代の彼女をいつまでも忘れられない主人公・西。
友人の佐々木が彼女を好きになり、彼女に近づくのにつき合わされ、
彼女が佐々木に魅かれていくのをそばで見ていなければならない状況に
陥ります。読んでいるあいだずっと、自分の気持ちをきちんと伝えることの
大切さを感じました。

「ラブソング」
音楽好きの主人公・白田は、そのマニアックさからクラスでは浮いた存在。
白田は軽音部の辻本くんと音楽の話で意気投合し、彼に恋をしてしまいます。
それからの白田のあたふたっぷりがおもしろい!
結局あっさり失恋してしまうのですが、不器用で一生懸命で青春!!でした。

この作品で書かれているのは、きっと誰もが経験したことがある高校生活です。
特別じゃない、派手じゃない、いろんなことに悩んでいて、でも一生懸命で。
いろんなところに、フッと懐かしく思い出すようなものをたくさん含んだ小説です。

「オアシス」 生田紗代

2007-07-17-Tue
近所の本屋さんが移転することになりました。
えっ!と思ったのもつかの間、場所はちょっとだけ遠くなりますが
売り場面積が2.5倍になるとのことで、今からわくわくしています

オアシスオアシス
(2003/11/22)
生田 紗代

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家事放棄の“粗大ゴミ”=母・君枝とパラサイトされている姉、そして私。
女三人、奇妙な家族の行方は?第40回文芸賞受賞作。〜amazonより〜

主人公は21才のフリーター・芽衣子。父の単身赴任をきっかけに家事を放棄して
一日中家にこもっている母親と、OLの姉と3人で暮らしています。
"自転車の盗難問題"と"お母さんのこと"が交互に語られていきます。

母親らしいことをしないのに母親らしい発言から抜け出せない母、
自分の母親を粗大ゴミ扱いする娘たちが初めは好きになれませんでしたが、
そんな母になんか構っていられない、でも気になってしまう・・・という思いを
とてもさっぱりと書いていて読後感はなかなか良かったです。

芽衣子がなくした自転車を見つけるために貼り紙までしてしまうあたりは、
なぜそんなに固執するのか、母親への諦めと関係しているのかいないのか
曖昧な部分が多かったですが、芽衣子が持っているエネルギーみたいなものを
感じたような気がします。

ひとことで言うと、最近よく書かれている「何も起きない家族小説」です。
それを退屈に感じさせなかった、生田さんのテンポの良い会話と文章。。
他の作品も読んでみようと思いました。

『舞妓Haaaan!!!』

2007-07-17-Tue
舞妓Haaaan!!!舞妓Haaaan!!!
(2007/12/12)
阿部サダヲ;堤真一;柴咲コウ堤真一

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東京の食品会社に勤めるサラリーマンの公彦は、熱狂的な舞妓ファン。
そんな彼に京都支社への転勤話が。彼は恋人の富士子をふって、いざ京都へ。
公彦は“一見さんお断り”という敷居の高いお茶屋を、仕事で結果を残して社長に
連れていってもらうことで突破!しかし舞い上がったのも束の間、
野球選手がお金にモノをいわせて豪遊しているのを見てライバル心が沸いてくる。
そんなとき富士子は、舞妓になって見返してやる!とこっそり京都へ…。
〜amazonより〜

舞妓オタク・鬼塚公彦を演じる阿部サダヲさんのハイテンションっぷりが見事。
その演技に柴咲コウさんと堤真一さんもまたハイテンションで応えています。
楽しい撮影現場だったんだろうな〜というのが伝わりました。

堤真一さん演じる野球選手・内藤貴一郎との対決三昧は、"ありえない"よりも
"おもしろい"と素直に思いました。突拍子もない設定ながら最後は
あたたかい気持ちにさせてくれる、宮藤官九郎さんらしいの脚本です。
舞妓さんの世界の仕組みやしきたりを知ることができたのも良かったです。

予備知識なしで見に行ったので、いろんな役者さんが出ていてちょっと
得した気分でした。舞妓さん役の小出早織さん(「時効警察」に出ていました)、
お医者さん役の北村一輝さん、高校生役の山田孝之さん、などなど。。
また、この作品が遺作となった植木等さんの演技も素敵でした。

「ハートブレイク・レストラン」 松尾由美

2007-07-13-Fri
ハートブレイク・レストランハートブレイク・レストラン
(2005/11/19)
松尾 由美

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幸せな人は、入店お断り?!
「隅のお婆ちゃん」が解き明かす、不思議な恋愛ミステリー。
「ケーキと指輪の問題」「走る目覚まし時計の問題」「不作法なストラップの問題」
ほか、全6編を収録。〜amazonより〜

主人公は、駆け出しのフリーライター・寺坂真以、28歳。
原稿を書くのに近所のファミリーレストランを利用しています。
ある日、今書こうとしている不思議な話を友人に携帯電話で話したあと、
和服のおばあちゃんが声をかけてきて、さらりと謎を解いてしまいます。

このおばあちゃん・ハルは、特定の人にしか見えない幽霊。
そのハルさんが、真以の周りで起こったり聞いたりした不思議な話を謎解き
していく6つの短編集です。
ケーキと指輪の問題/走る目覚まし時計の問題/不作法なストラップの問題/
靴紐と十五キロの問題/ベレー帽と花瓶の問題/ロボットと俳句の問題

私はとにかくハルさんの人柄が大好きでした。上品でチャーミングなんです。
まるで真以の本当のおばあちゃんのように、引っ込み思案な真以を
控えめながら温かく見守る様子がほほえましかったです。
とはいえ、謎解きもなるほど!と思えるものばかりでした。

「流れ星が消えないうちに」 橋本紡

2007-07-12-Thu
流れ星が消えないうちに流れ星が消えないうちに
(2006/02/20)
橋本 紡

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高校時代から付き合っていた恋人・加地君が、自分の知らない女の子と旅先の
事故で死んでから1年半。奈緒子は加地の親友だった巧と新しい恋をし、
ようやく「日常」を取り戻しつつあった。
ただひとつ、玄関でしか眠れなくなってしまったことを除いては―。
深い悲しみの後に訪れる静かな愛と赦しの物語。〜amazonより〜

奈緒子にとっては恋人だった加地君。巧にとっては親友だった加地君。
そんな加地君が旅先での事故で亡くなってから1年半。
奈緒子と巧の視点で交互に話が進むため、ふたりともに感情移入してしまいます。

奈緒子と巧が付き合うということは、ますます加地君のことが忘れられなくなると
いうこと。お互いに加地君のことを忘れていないことを知りながら、加地君の話を
することもできない。そんな不安定な関係を見守るような気持ちで読みました。
奈緒子の不安定さを表すのが、奈緒子が玄関でしか眠れないという現実で、
泣いたり何かに頼ったりするよりもつらさがじわりと伝わってきました。

そんなふたりが、加地君のことを忘れるのではなく、思い出を大事に抱えながら
前に進んでいこうと決めるまでが丁寧に書かれています。
私的には、加地君と奈緒子が付き合うきっかけとなったプラネタリウムでの
エピソードがとても好きでした。

「青空のむこう」 アレックス・シアラー

2007-07-12-Thu
たまに、外国の作家さんの本も読みます。
ユーモアを交えつつ、大切なことを教えてくれる本が多いように思います

青空のむこう青空のむこう
(2002/05)
アレックス シアラー

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ぼくはまだ決めかねてた。アーサーはぼくに背中をむけて歩きだした。
そのとたん、エギーやママやパパや友だち、ぼくが知ってる人たちの顔が次々に
浮かんで、どうしてももう一度会いたくなった。
すぐにぼくは決心した。「待って、アーサー。ぼくも行く」。
アーサーは立ち止まってぼくを待った。それからふたりで駆けだした。
“生者の国”を目指して―。〜amazonより〜

主人公の少年・ハリーは姉のエギーとケンカしたすぐあと自転車で買い物に行き、
トラックにはねられてしまいます。"死者の国"から"生者の国"に降り、
エギーに謝ろうとするハリーの物語です。

ハリーは、生きているときは何とも思っていなかったことの大切さに気がついたり、
天敵だと思っていたクラスメイトの意外な想いを知ったり、自分と同じように地上に
とどまっている死者たちと出会ったり、たくさんの冒険をします。

冒険の途中で、ハリーは自分が死んでしまっても世の中はちゃんと動いていること
を知り、ちょっとショックを受けます。それはとても悲しいことですが、
それが死んでしまうということなのかもしれない、と思いました。

"死"の先に何があるのか考えたことはあっても、それは誰にもわかりません。
この作品は、その世界を子どもの視点で書くことで、失って初めて気がつく
当たり前のことの大切さを教えてくれます。

「きみのためにできること」 村山由佳

2007-07-10-Tue
きみのためにできること Peace of Mindきみのためにできること
(1996/11/26)
村山 由佳

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新米の音声技師、高瀬俊太郎には、夢がある。
憧れの人、木島隆文の音を越える凄い音を創りたいという強い思いだ。
そんな彼を支えてくれるのは幼なじみのピノコ。
仕事が忙しく逢瀬はままならないが、メールがふたりを結んでいる。
そんな折、テレビの仕事で遭遇した女優・鏡耀子の妖しい輝きに
俊太郎は引かれていく…。〜amazonより〜

小説を読むときにはどうしても自分の立場と近い人に感情移入してしまうので、
私としてはピノコと俊太郎にうまくいってほしいと思いながら読みました。
タイトルの"きみ"は、ピノコなのか鏡耀子なのか

俊太郎とピノコを結んでいるメール。10年以上前の作品なので、今とはメールの
出し方などが違い、ケータイでいつでもどこでもメールが打てるというわけでは
ないので、それがさらにふたりの関係をややこしくしてしまいます。
ピノコは最後までほとんどメールでしか登場しないのですが、それでもメールから
どんな女の子なのかが良くわかるあたりが、上手いなぁと思いました。

村山さんの作品は、よくある設定や展開が多いです。
この作品も、長年付き合っている彼女とのホッとする恋と、年上の女性との
ドキドキする恋の間で心が揺れ動く・・・というよくある話。
でもそのことがかえって、村山さんの小説の魅力は、設定には頼らない丁寧に
書かれた登場人物の"気持ち"だといういうことを伝えてくれます。