読書日和読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。 |
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「はるがいったら」 飛鳥井千砂
2007-06-20-Wed
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気が付けば他人のファッションチェックまでしている、完璧主義者の姉。
何事も、そつなくこなすが熱くなれないイイ子な弟。
二人の間に横たわるのは、介護され何とか生きる老いぼれ犬。
どこかが行き過ぎで、何かが足りない姉弟の物語。
第18回小説すばる新人賞受賞作。〜amazonより〜
デパートの受付嬢をしている園と高校3年生の行は、両親が離婚したため離れて
暮らしている姉弟。ふたりが幼い頃に拾った犬のハルは寝たきりの老犬となり、
行の介護によってかろうじて生きながらえています。
病弱な行が肺炎で入院したり、園がストーカーから嫌がらせを受けたり
いくつかの事件が起こる中で、ふたりの頭の片隅にはいつもハルの存在があって、
そんなふたりの人間関係や心理描写が丁寧に描かれた作品です。
特に園の、自分は周りからこう見られているんだろうな、とか、
あの人はこういう人なんだろうな、と想像する感じがとてもリアルで共感できます。
自分にしかわからない自分の性格や、他人にしかわからない自分の性格が
あることを実感しました。
園と行以外の登場人物の使い方がとても上手いですし、何かすごいことが
起こるわけでなくてもきちんと園も行も何かをつかんで終わるあたりが
心地良いです。日常で感じたことを大切に書いている感じがする作家さんでした。
「ジョゼと虎と魚たち」 田辺聖子
2007-06-19-Tue
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どこかあやうくて、不思議にエロティックな男女の関係を描く表題作他、
仕事をもったオトナの女のさまざまな愛と別れを描いて、素敵に胸おどる
短編8編を収録した珠玉の作品集。〜amazonより〜
足が悪く車椅子がないと動けないジョゼは、ほとんど外出したことがなくひっそりと
暮らしていました。市松人形のように美しい外見だが、態度は高飛車。
そんな彼女が大学を出たばかりの恒夫と出会い、、というストーリー。
映画『ジョゼと虎と魚たち』を観た後に読んだのですが、短編集だったことに
まず驚きました。表題作は30ページに満たないくらいの短い話で、
これをよく映画化しようと思ったなぁと。
でも、主演の池脇千鶴さんと妻夫木聡さんがジョゼと恒夫のイメージにぴったりで、
とても良い映画でした。
映画と小説は展開も結末も違っていたのに、読み終わった後の気持ちはなぜか
同じでした。ジョゼと恒夫が幸せになれる気がしない危うい感じと、
幸せになってほしいという願いが残るのです。
他の7つの短編もそれぞれとても短いながら大人の色気にあふれた作品ばかり。
様々な経験を重ねて、とても現実的な生き方をしている女性たちの恋愛が
描かれていて、女性の人生って様々だな、と思いました
「はじまりの空」 楡井亜木子
2007-06-18-Mon
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岡崎真菜、高校2年生。
姉の結婚相手に紹介されたその兄、小林蓮の存在が心の内を占め、戸惑う。
小さな画廊で先輩の元妻に使われている、結婚しそこなった中年なのに―。
一生に一度の恋に身を焦がす少女の視点で、17歳と34歳の恋を鮮烈に描く。
〜ブックカバーより〜
『神様に励まされ、こわごわ未知の恋へ踏み出していく真菜を、
応援せずにはいられない』
という小川洋子さんの推薦文に惹かれて手に取った本です。
高校生の女の子が、姉の結婚相手のお兄さんに恋をするというストーリー。
これだけ聞くとべたな恋愛小説を想像してしまいますが、真菜と蓮さんの
キャラクターがとても素敵なため、素直に「恋愛っていいな」と思えます。
最近、ちょっとひねくれていたりやたらと大人びている高校生が主人公の作品が
多い気がする中、真菜は自分が子どもであることをきちんとわかっていて、
そのうえで大人に憧れたり悩んだりする姿にとても共感が持てました。
真菜と一定の距離をおこうとする蓮さんに対して、私も真菜と同じように
「どうしてなんだろう?」と思ってしまいはがゆかったのですが、
ところどころで蓮さんも真菜のことを可愛いと思っているけど自制しているのかな
と思えるところがあって切なくなりました。
途中で舞台がフランスになるところ、真菜の彼氏がいいひとすぎたところ
(普通ならやきもちを妬いて邪魔してきたりします)が、印象的な小説でした。
「月魚」 三浦しをん
2007-06-14-Thu
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『無窮堂』は古書業界では名の知れた老舗。
その3代目に当たる真志喜と「せどり屋」と呼ばれるやくざ者の父を持つ太一は
幼い頃から兄弟のように育つが、ある夏の午後に起きた事件が二人の関係を
変えてしまう…。〜amazonより〜
太一が真志喜を訪ね、今度M県の山奥に買い付けに行くので付き合ってくれる
ように頼むことから始まる「水底の魚」、
ふたりの高校時代を描いた「水に沈んだ私の村」、
文庫本書き下ろしの「名前のないもの」の3編。
真志喜の祖父は古書界ではその名を知られた重鎮でした。
その祖父に愛された孫と、祖父に才能を認められていた太一。
そして、古書においては才能のなかった真志喜の父。
古書への熱い思いは同じでありながら、心を通わせあうことができなかった
家族の物語が中心にあります。
作品全体に、月の明かりだけが輝く夜のひんやりとした青白い空気が漂っていて、
特に劇的なことが起こるわけではないのですが、過去や自分と闘う強さが
じわじわと伝わります。
古書業界の仕組みをのぞき見ることができるのもイイです。
就職活動のため東京へ行った帰り、神田神保町(古書の聖地)へ寄ってちょっぴり
大人なことをした気分になったことを思い出しました。
「パイロットフィッシュ」 大崎善生
2007-06-13-Wed
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人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない。
“別れ”に涙を流したことのあるすべての人に捧げる、愛しくせつない青春小説。
〜amazonより〜
アダルト雑誌の編集部に勤める主人公・山崎のもとに、19年ぶりにかかってきた
元恋人・由希子から電話。そこから、山崎の過去の記憶と現在の生活とが
交錯しながら物語は進んでいきます。
冒頭の1ページがとても魅力的で、なかなか次のページに進めませんでした。
『人は一度巡り合った人と二度と別れることはできない』という文から始まって、
人間の体のどこかに記憶が沈んでいる湖があって、その記憶は二度と
手に取ることはできないけれど、確実に自分の中に存在しそれから逃れることは
できない、という内容。
その後、この本のどこを読んでいてもこの『記憶の湖』が頭から離れなくて、
山崎に訪れる出会いや別れ全てが山崎にとって必要なものだったのだと
思わされます。
『この愛が本当に本物ならば、二人はこの世界のどこかで必ず再び巡り合うはず』
という手紙で別れを告げた由希子はとても素敵な女性だと思ったので、
現在の由希子の状況が私にはとても辛かったです。
"過去が今の自分を作っている"ということを考えさせられた本でした。
「いま、会いにゆきます」 市川拓司
2007-06-11-Mon
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父子家庭に起こる愛の奇跡。「愛している」という感情をこれほどシンプルに、
しかし深く表現した小説は古今稀でありましょう。
限りない優しさに魂が洗われるような、新たなるベストセラー恋愛小説の誕生。
〜amazonより〜
1年前に妻の澪を亡くした主人公・たっくんと、息子・佑司のもとに、
梅雨の季節になったとき、突然澪が現れます。
記憶を失っていた澪とふたりは、以前のような穏やかな生活を送ります。
そして、再び去っていく澪から届けられた手紙には・・・というお話。
良い雰囲気を持った作品だと思いました。
梅雨の季節独特のしっとりとした空気や、とても素敵な登場人物たちが
その雰囲気を作っています。また、つるつるとした手触りの青色のカバーと
「いま、会いにゆきます」というタイトルがとても良いです。
ファンタジーの要素もあるストーリーですが、純粋にたっくんと澪が相手を
大切に思っている気持ちが伝わります。
誰が喋っているのかわからなくなってしまいそうな短い会話が多いのが
気になりましたが、その会話の中に可愛い言葉がたくさん出てきます。
私が好きなのは「ベストポジション」。恋人同士がすっぽりとおさまる体勢
ということなんですが、きっとどのカップルにもありますよね

それにしても、映画の中村獅童さんもドラマの成宮寛貴さんも"たっくん"の
イメージとはちょっと違う気がするんですよね。。。
「幸福な遊戯」 角田光代
2007-06-07-Thu
直木賞作家・角田光代さんのデビュー作を読みました。
角田さんは"「女性」や「家族」を書くのが上手い作家さん"というイメージが
ありましたが、デビュー作からその傾向があるようです。
ハルオと立人と私。恋人でも家族でもない3人が始めた共同生活の唯一の
禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」。本当の家族が壊れてしまった
私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった・・・。
表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。
今もっとも注目を集める作家の原点がここにある。記念碑的デビュー作。
〜amazonより〜
3つの短編の主人公はどれも20代の女性で、皆、今の生活に不満や不安を
抱えています。表題作「幸福な遊戯」では男女3人の共同生活に、
「無愁天使」では買い物に、「銭湯」では劇団員を目指すという夢に縛られている
女性が出てきます。
縛られている、というのは正しくないかもしれませんが、彼女たちは自由になること
を怖がっているように見えました。固執することで、自分を保っているような。
なんでそんな風に考えるのだろうと読んでいて辛くなる部分と、
なんとなくわかるなぁと共感する部分のバランスが絶妙でした。
ただ、最近の作品よりもずっしりと重いというか、倦怠感があるのが印象的でした。
その中にも、希望とまでは言えないけれど、微かな光が見えたのが良かった。
そして、その光を思わせるような装丁の写真も良かったです。
角田さんは"「女性」や「家族」を書くのが上手い作家さん"というイメージが
ありましたが、デビュー作からその傾向があるようです。
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ハルオと立人と私。恋人でも家族でもない3人が始めた共同生活の唯一の
禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」。本当の家族が壊れてしまった
私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった・・・。
表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。
今もっとも注目を集める作家の原点がここにある。記念碑的デビュー作。
〜amazonより〜
3つの短編の主人公はどれも20代の女性で、皆、今の生活に不満や不安を
抱えています。表題作「幸福な遊戯」では男女3人の共同生活に、
「無愁天使」では買い物に、「銭湯」では劇団員を目指すという夢に縛られている
女性が出てきます。
縛られている、というのは正しくないかもしれませんが、彼女たちは自由になること
を怖がっているように見えました。固執することで、自分を保っているような。
なんでそんな風に考えるのだろうと読んでいて辛くなる部分と、
なんとなくわかるなぁと共感する部分のバランスが絶妙でした。
ただ、最近の作品よりもずっしりと重いというか、倦怠感があるのが印象的でした。
その中にも、希望とまでは言えないけれど、微かな光が見えたのが良かった。
そして、その光を思わせるような装丁の写真も良かったです。












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