読書日和

読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。



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「ようちゃんの夜」 前川梓

2007-05-21-Mon
雑誌「ダ・ヴィンチ」を、これから読みたい本を決めるときによく参考にしています。

その「ダ・ヴィンチ」が文学賞を始め、第1回の大賞を受賞したのが
この『ようちゃんの夜』ということで、期待をふくらませて読みました。

ようちゃんの夜 (ダ・ヴィンチブックス)ようちゃんの夜 (ダ・ヴィンチブックス)
(2006/08)
前川 梓

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ようちゃんは少し変わっている。一人でじいっと何かを見つめているときもあるし、
「空の向こうから誰かが見てる」と突然言い出したりもする。
亜紗子は、そんなようちゃんがうらやましくてたまらない。
少女の痛み、憧れ、狂気、そして……。痛いけどやさしい。かわいいけどこわい。
10代の少女たちのヒリヒリとした日常を、繊細で詩的な文章で
鮮やかに切り取った青春小説。〜amazonより〜

本を読んでいるというより、絵本を読んでいるような、詩を読んでいるような、
そういう文章でした。

初めは、カケラの集まりのような文章に何を言いたいのか「?」と思ったのですが、
ところどころでぴたりとそのカケラがはまる感じがしていつの間にか
引き込まれていました。なんというか、"みずみずしい"小説なんです。

やわらかい文章なのに、この話はとても胸を締めつけます。
自分にはないものを持つ友達への憧れと、そういうふうにしかいられない
ようちゃんの葛藤が痛いほど伝わってくるからです。

亜紗子はようちゃんに対して様々な感情を持ちますが、とにかく関わり続けます。
それがてても潔くて、私は亜紗子にも憧れます。

読む年代によって感想が変わってくるのではないかな、と思いました。
そして、次にどんな作品を書くのか楽しみな作家さんに出会えたと思いました

「ア・ハッピーファミリー」 黒野伸一

2007-05-20-Sun
ア・ハッピーファミリーア・ハッピーファミリー
(2006/05/16)
黒野 伸一

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坂本家はサザエさんちと同じ7人家族。
ニートの父親、サプリ漬けのばあさん、いじめに悩む長男、かさぶたができるまで
頭を掻きむしる次女・・・。7人家族があゆむ、へたくそで、ばらばらで、
泣きたくなるほどあったかい日々。第一回きらら文学賞受賞作。 〜amazonより〜

タイトルや表紙の優しい絵から、ほのぼのとした家族の話かと思っていたら、
ニートの父親、心の病を持つ次女など、問題だらけの家族の話でした。

そんな家族を中学二年生の三女・ミキの視点から描いています。
このミキが、とても冷静に周りを見つめていて、自分の心に正直で、魅力的な
キャラクターだったことがこの本を好きな理由のひとつです。

この家族には次から次へと何かが起こります。そんな中で、家族だからこそ
うまく伝えられないこと、それでもお互いを大切に思っていることが伝わります。

ミキのまわりでも、女の子特有のグループの問題やイジメの問題も出てきて、
心痛む場面もありますが、それだけイジメに関する描写がうまいのだと思います。

ラストに向かっていろんなことが解決というか、希望が見えるようになって
いきます。少しうまくいきすぎな感じもしますが、読み終えたときに
温かい気持ちになれること間違いなしです。

『博士の愛した数式』

2007-05-19-Sat
博士の愛した数式博士の愛した数式
(2006/07/07)
寺尾聰小川洋子

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世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した---。
記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。
せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー。著者最高傑作。 〜amazonより〜

記憶が80分しかもたない元数学者の「博士」と、その家政婦になった「私」と、
私の息子ルート(博士がつけたあだ名)のあたたかい交流のお話です。

数式を用いて、目に見えない世界が目に見える世界を支えていることや、
友愛数が神の計らいをうけた絆で結ばれた数字だということを説明するシーンが
たくさんでてきます。数学はちょっと・・・という人でも、数字って奥が深いなぁと
思わされてしまうのは小川洋子さんの文章力なのでしょう。

記憶障害である必要があるのかな、なんて考えてしまうほど、
博士は数学にも人間にも愛情をもって接する素晴らしい人間性を持っています。
だからこそ記憶が維持できないことがとてもとても悲しく感じられます。

映画の話に戻りますが、博士役の寺尾聰さんの深くて穏やかな声がとても
良いです。学生時代にこんな風に数学を教えてほしかったです

「ぼくは悪党になりたい」 笹生陽子

2007-05-18-Fri
ぼくは悪党になりたいぼくは悪党になりたい
(2004/07)
笹生 陽子

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どんな曲か知らないのにジャケットを気に入ってCDを買うことをジャケ買いというなら、
この本は"カバー買い"でした♪
黄色い表紙にインパクトのあるタイトル、帯には「今年度No.1青春小説!」。
思わず買ってしまったのを憶えています。

僕の名前は兎丸エイジ。父親は不在、奔放な母親と腕白な異父弟・ヒロトとの
3人で平凡な生活を送ってる。毎日炊事、洗濯、ゴミ捨てと家事全般をこなす
高校生が「平凡」かどうかは我ながら疑問なんだけど。
ある日弟のヒロトが病気で倒れたのをきっかけに、
僕の「平凡」な日常は少しずつ崩れてきて…。 〜amazonより〜

母親は長期出張中、自分は明日から修学旅行という時に弟が水疱瘡にかかる、
というエイジのピンチから物語は始まります。そしてエイジは、
留守中の世話を頼む相手を、母親の携帯電話のメモリーから選ぶのですが・・・。

ストーリーの展開が読めなかったり、青春の美しい部分だけでなく、
うまくいかないことの方が多い現実をきちんと描いている点で、
新しい青春小説だなぁと思いました。

周りの人が個性派だらけなだけに、エイジの平凡さ・お人よしさが際立ちます。
そんなエイジを誰もが応援したくなるのが、この小説の魅力です。

そもそも悪党はなりたいと思ってなれるものではないし、小心者のエイジが
なろうとするのがムリな話で、だからこそこのタイトルがエイジの不器用なところを
言い当てているようでなるほどと思いました。

「ミカ!」 伊藤たかみ

2007-05-17-Thu
会社からの帰りの電車の中で読了!

ふと気が付くと周りに中学生がたくさんいて、みんなディズニーランドの大きな袋を
持っていました。・・・修学旅行の帰りなんですね

本のラストが、主人公のユウスケが中学2年生のところで終わったので、
ユウスケもこんな感じかな〜とついつい見てしまいました。。

ミカ! (文春文庫)ミカ! (文春文庫)
(2004/04/07)
伊藤 たかみ

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活発で男まさりのミカ。スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!
思春期の入口にたつ不安定なミカを、双子のユウスケがそばで見まもる。
両親の別居、姉の家出、こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。
流した涙の数だけ幸せな未来が待っている。
第49回小学館児童出版文化賞受賞作。 〜amazonより〜

オトコオンナのミカと、おとなしめなユウスケは双子。
物語はこのふたりを中心に進んでいきます。
両親の離婚、姉の家出、クラスメイトとの関係、不思議な生物・オトトイなど、
ふたりには本当にいろいろな出来事が起こります。

このふたりにとても好感がもてるのは、いろんな出来事に対してきちんと向き合って
考えようとするところです。ときには子どもらしく、ときには大人よりも大人っぽく、
考えて考えて自分なりの答えを出していきます。

ミカとユウスケが双子であることで、思春期の男の子と女の子の成長の仕方の
違いがよく表れていました。女の子の方が感情の揺れ動く幅が大きくて、
それなのにいつの間にか成長しているんですよね。

児童書ですが大人でも十分に楽しめました。
大人になりたいけど、大人になんかなりたくない!っていう懐かしい気持ちを
思い出させてくれます。

『アヒルと鴨のコインロッカー』 伊坂幸太郎

2007-05-14-Mon
昨日、レイトショーで観てきました!

仙台在住の作家・伊坂幸太郎さんの本が原作で仙台を舞台にした物語なので、
オール宮城ロケ・宮城先行上映なのでした☆

アヒルと鴨のコインロッカーアヒルと鴨のコインロッカー
(2008/01/25)
濱田岳瑛太

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引っ越してきたアパートで出会ったのは悪魔めいた長身の美青年。
初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。
彼の標的は―たった一冊の広辞苑。決行の夜、あろうことか僕はモデルガン
を持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の
全体像は・・・。注目の気鋭による清冽なミステリー。〜amazonより〜

原作は2年ほど前に読んでいたのですが、肝心なところを忘れていたりで
純粋に映画を楽しみました。たしか、本は難しかった印象があったのですが、
映画はとても解りやすかったです。

物語は、現在(書店襲撃)と2年前(ペット虐待事件)の出来事が、
徐々に1本の線でつながる・・・というミステリーです。

クスッと笑える会話あり、切なすぎる想いありで、時間を忘れて観ていました。
トリックがわかったとき、タイトルの意味がわかったときは
とても爽やかな気持ちになりました。

この映画ではボブ・ディランの「風に吹かれて」が重要な役割を果たしています。
何度も何度も流れるので、帰りの車の中ではついつい口ずさんでいました♪
そして、書店襲撃のロケ地となった"ブックスなにわ塩釜店"に寄って、
大満足で帰って来ました

「夢を与える」 綿矢りさ

2007-05-12-Sat
ここのところ、元モー娘メンバーの辻ちゃんの妊娠・結婚が話題になっています。
幸せそうな会見を見て「辻ちゃんも大人になったなー」なんて思いました。

ところで、このニュースを聞いたときにある一冊の本を思い出しました。

夢を与える夢を与える
(2007/02/08)
綿矢 りさ

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チャイルドモデルから芸能界へ。
幼い頃からテレビの中で生きてきた美しくすこやかな少女・夕子。
ある出来事をきっかけに、彼女はブレイクするが…。
成長する少女の心とからだに流れる18年の時間を描く待望の長篇小説。
〜amazonより〜

芸能界という華やかだけれど移ろいやすい世界で、夕子は翻弄されながらも
成長していきます。芸能人としてスケジュールをこなす日々、恋愛に対しての
事務所からの圧力などが書かれていて、
辻ちゃんもいろいろあったんだろうなぁなんて思ってしまいます。

「夢を与える」は芥川賞で話題になった綿矢りささんの3作目です。
本の厚みや表紙から、「インストール」「蹴りたい背中」とはだいぶ雰囲気が違うな
と思いました。

中身も、一人称が三人称になり、説明の文章が増え、
これまでの若々しく軽い感じが、ものすごい安定感に変わっていました。
それでも一気に読まされてしまう文章の滑らかさは健在で。

どちらが好きというより、これはこれで良い、と思いました。
ラストは重かったですが。。。