読書日和読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。 |
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「ダリア」 野中柊
2008-05-18-Sun
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通訳として働く母、家庭を守る父を持つハナコはアメリカから帰国して、
幼なじみの太郎と再会…。既存のジェンダーにゆれる10代のふたり。
生と性をめぐる90年代の愛の物語。〜amazonより〜
タイトルの「ダリア」とは、主人公・ハナコが学校の友だちからもらった
ポルノ小説の主人公の名前。
このダリアの自由奔放な性に引きつけられるハナコ。
また、母親が働き父親が主夫をしていたり、幼なじみの太郎がバイ
セクシャルであるという、男女の区別が揺らぐような環境にいるハナコは、
自分が女であること、自分が自分であることについて悩み続けます。
今までに読んだ野中さんの本の中で一番性の描写が多い、とても痛々しい
物語でした。たぶん、読む時期が違っていたら、"性"について考えさせる
小説として読めたと思うのですが、最近姉や友人の出産が続いていたので、
堕胎のシーンが苦しくて読むのに時間がかかってしまいました

ハナコのその後を読んでみたいです。
「プリズム」 野中柊
2008-04-18-Fri
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大切なものほど、こわれやすいのだろうか。たとえば、優しい夫のいる
温かい家庭。でも、私の心はもうそこにはない。
始まりは理由もなく、きっかけがあっただけ。私は通う。あの人の部屋へ。
恋しい人は夫の親友だった…。〜amazonより〜
主人公は33歳の波子。夫の幸正は病院勤務の外科医で、波子自身は
週に3日薬剤師としてパートしています。
何不自由のない生活にみえるのに、どこか寂しそうな波子。
波子の両親は離婚をしていて、それぞれが再婚。
父親が再婚した相手とのあいだには梨香という妹が、母親が再婚した相手
とのあいだには圭吾という弟がいます。
そんな複雑な環境の中、波子はどちらの家庭とも一定の距離を置いて
付き合っていて、家族というものへの考えがふわふわしているところが
寂しげに映ったのかもしれません。
そんな波子が恋する相手は夫の親友・高槻。
もともと好印象を持っていた高槻に、ある夜突然キスをされたことから
波子の高槻に対する想いは一気に溢れ出していきます。
波子と高槻の逢瀬からは、恋をすることでいろいろなもので縛られてしまう
のと同時に、自由にもなれるのだなと思いました。
ひと言で言ってしまえば不倫小説。なのに、とても美しくて儚い。
激しい炎のような恋ではなく、小さいけどいつまでも消えない恋。
それを表現している野中さんの文章の力をとても感じました。
「このベッドのうえ」 野中柊
2007-11-30-Fri
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甘くて苦く、晴れやかでいて後ろめたい、嬉しいようで怖くもある。
恋がもたらすあらゆる感情をつぶさに描く8つの物語。〜amazonより〜
野中さんの本は装丁がとにかく私好みなので、新刊が出るのを楽しみにしている
作家さんのひとりです。今回の装丁は赤と青がにじんだような色使いが綺麗で、
タイトルにとても合っていました。
内容はタイトルから想像するほど甘いものではなく、恋をしているときの穏やかな
ようでいて、妙に不確かな気持ちを描いています。
全体的にふんわりとした文章で、眠る前に一編ずつ読むのがとても
心地よかったです。私は「真夜中にそっと」と「なんでもない感情」が好きでした。
「真夜中にそっと」
眠る前にふと外を見てみると雪が降っていた。だから恋人に電話をしてみた。
話したいときに話せる相手がいること、"雪が降った"のような季節の移り変わりに
敏感になること。これって恋人がいるときの特権なのかもと思いました。
「なんでもない感情」
初めてのバレンタインデー。あの人は何が欲しいんだろう?と、好きな人のために
プレゼントを選ぶ一日。相手のことを想いながらプレゼントは選んでいるときって
1番楽しいような気がします。そんな時間が丁寧に描かれていました。
なのに、「この幸せがいつまで続くかわからないけど」なんていう文章もあって、
野中さんらしいと思いました。
「その向こう側」 野中柊
2007-10-13-Sat
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踏み入ることのできないはずの一線を越えたなら、その向こう側には何が
あるのだろう。少女から大人へのほろ苦くせつない成長物語。 〜amazonより〜
大学3年生の鈴子。父親のいない家で育った鈴子は、母の長年の恋人だった
敏史さんから、母と結婚することにしたと告げられます。
二人に幸せになってほしいのになぜかざわつく心。
そんな気持ちを持て余した鈴子は、ひとり暮らしを始めます。
鈴子が住むことになったのは横浜の洋館。そこのオーナーである年上の
美しい女性・真希子さん。洋館の地下室に住む画家の奈央。
恋人の孝之や親友の亜佐美。周りの大切な人たちの変化に揺れ動く鈴子の心情
をとても丁寧に描いた作品です。
何度か行ったことのある横浜が舞台だったので風景が想像しやすく、横浜独特の
街並みや雰囲気が読んでいるあいだ頭から離れませんでした。
また、鈴子についての描写がほとんどないのに、凛としていて自由なのにどこか
寂しげな女の子をいつも想像してしまいました。
鈴子のお母さんが恋愛面において強いのか弱いのかはよくわからなかったけど、
辛い時には「とにかく何か食べなくちゃ」というお母さんの言葉はとても印象的で、
母親としてはすごく素敵な人だと思いました。
「きみの歌が聞きたい」 野中柊
2007-06-05-Tue
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夫に恋人がいることを知って傷つきながらも、諦念を抱いて日々を送る美和。
そんな彼女と共に、天然石のアクセサリーブランドを立ち上げた幼馴染の絵梨。
そして、絵梨のかつての恋人でありさまようようにして生きる少年ミチル。
いつしか、美和とミチルは週に一度だけベッドを共にするようになる…。
優しさと慈しみに満ちた長編恋愛小説。〜amazonより〜
美和と絵梨とミチルの三角関係の話なんだと思っていたら、どうもいわゆる
恋愛の三角関係ではなかったです。3人がそれぞれバランスを崩さないように
支え合っている、精神的な三角関係のお話。
美和が絵梨に憧れる気持ち、絵梨がミチルで保っている気持ち、
ミチルが美和を求める気持ちがちょうど三角形を成していて、
お互いの悲しみや弱さを映しつつ、そこには強さや美しさがある気がしました。
帯に書いてある『ひとは互いの悲しみを映し出す鏡のようだ』という言葉が印象的。
映し出してくれる人がいるのは苦しいことであり、心強いことなのかもしれません。
装丁とタイトルに惹かれて手に取った本でしたが、
私的にはタイトルの意味がピンとこなかったのがザンネンでした。。









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