読書日和

読んだ本のこと。ときどき、邦画の感想とブログライターの記事も。




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「薄闇シルエット」 角田光代

2008-06-01-Sun
薄闇シルエット薄闇シルエット
(2006/12)
角田 光代

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人生の勝ち負けの定義など、誰が分かるというのだろうか。
ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調、というかむしろ
勝ち組。ある日、恋人から結婚を迫られたことを契機に、恋愛と仕事に
ついて模索していくことになり…。生き惑う女性の心情を描く極上長編小説。
〜amazonより〜

ある日、恋人のタケダ君から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を
感じるハナ。「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って
疑わないんだろう・・・」と。。
このハナの気持ち。すごくわかります。
「〜してやる」とか「〜だったんだろ」とか、相手に自分のことを決めつけ
られてしまったときの、あの「?!」という気持ち。でも、だからといって
自分がどうしたいのかがはっきりとわかっているわけでもなくて・・・。

それ以来、ハナの周りが少しずつ変わり始めます。
チサトが当初嫌がっていたブランド品を扱う店を出すことになり、タケダ君は
他の女の子と結婚することになります。一人置いてけぼりをくらってしまった
ハナは、自分が何も持っていないことに気がつきます。

"幸せ"は決して仕事での成功と温かな家庭だけで決まるものではありません。
頭ではわかっているのに、どうしても他人と比べて優劣をつけたり嫉妬したり
してしまう、そんなハナの気持ちは痛いほどわかりました。
何かを持っていても、何も持っていなくても、そんな自分を好きになりたいと
思わせてくれた本でした。

「人生ベストテン」 角田光代

2008-04-18-Fri
人生ベストテン人生ベストテン
(2005/03/02)
角田 光代

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13歳のあの夏から、私に会いにきたひとは―?
どこにでもいる男たちと女たちの“出会い”が生みだす、ちいさなドラマ。
おかしくいとしい6つの短篇。 〜amazonより〜

床下の日常/観光旅行/飛行機と水族館/テラスでお茶を/人生ベストテン/
貸し出しデート/
の6編が収められていました。

世の中にはいろんな人がいていろんな日常があるんだ、、というのが1番の
感想。それにしても「床下の日常」なんて、水漏れ工事に向かったマンション
で、陰気な人妻から食卓に誘われた主人公の話で、これまたすごい日常を
切り取ったなーと、角田さんのユーモアセンスに感心してしまいました。

「人生ベストテン」は、40歳の誕生日を目前に、同窓会で初恋の人(いまだに
人生のイベントベスト1にいる人)に会おうとする主人公のお話。
人生のベストテン(普通はベストスリーくらい?)て、誰でも1度は考えたことが
あるんじゃないかと思いますが、この主人公は、それを考えるのが趣味の
ようになっていて、そのキャラクターがおもしろかったです。

ほんの少しだけいつもと違った出会いがあったときに、急に何かが変わるわけ
ではないけれど、その中で自分で何か考えて、前に進むきっかけにできたり
する・・・そんな、背中をぽんと押してくれるような1冊でした

「空中庭園」 角田光代

2007-11-30-Fri
空中庭園 (文春文庫)空中庭園 (文春文庫)
(2005/07/08)
角田 光代

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郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。
でも、ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見える風景は…。
連作家族小説の傑作。〜amazonより〜

「何ごともつつみかくさない」京橋家は、娘の初潮だってみんなでお祝いします。
傍からみたら幸せそうにみえる家族。でも、物語がすすむにつれ、
それぞれが悩みを持ち、嘘をつき、隠しごとをしていることが浮きぼりになります。

娘のマナがあるとき気がつきます。「隠しごとをしない」というのは、それ自体が
隠れ蓑になっているのではないだろうか、と。
このモットーがある限り、誰もお互いのことを疑ったりしないのだから。

なるほど、と思いました。そもそも「隠しごとをしない」のような約束というのは、
それが必要になるほど隠しごとがあるから生まれるのであって、そう考えると
京橋家というのはすぐにでも壊れていまいそうで危うくて、読み進めるのが
怖く感じるほどでした。

「まじー?」のようなやけにだるい話し言葉がどうも好きになれませんでした。
でも『空中庭園』というタイトルは、団地を下から見上げたベランダが
宙にあることと、どの家族にもそれぞれの光と闇があることを表しているようで
うまいなと思いました。

「彼女のこんだて帖」 角田光代

2007-11-17-Sat
彼女のこんだて帖彼女のこんだて帖
(2006/09/01)
角田 光代

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恋を失って泣きたい夜に食べるフルコース、専業主婦の憂うつを救うシチュー。
あなたはどの「彼女」の料理を作る? 角田光代のハートフル・ストーリーに、
登場する料理を再現した詳しいレシピ付きの、2度おいしいこんだて帖。
〜amazonより〜

料理が出てくる本はあっても、これだけメニューに密接したストーリーと詳しいレシピ
が書かれている本は初めてでした。しかも、それぞれの登場人物が見事にリレー
のようにつながっていて、やっぱり角田さんは短編がうまいなぁと思いました。

傷ついた心を癒してくれたラム肉のハーブ焼、主婦業をストライキして出会った
ミートボール入りトマトシチュー、亡き妻を想いながら作る豚柳川などなど、
それぞれの想いがこめられた料理はどれも美味しそうで、中でも私が作ってみたい
(というか、なんとか作れそう)と思ったのは「餃子鍋」でした。

失恋してもお腹は減る、なんてよく言いますが、どんなことがあっても人は
食べて生きていきます。そう考えると、食べることにこだわることが毎日を大切に
生きていくことにつながるのかもしれません。

角田さんがお母さんとの思い出を綴ったあとがきもとても素敵でした。

「幸福な遊戯」 角田光代

2007-06-07-Thu
直木賞作家・角田光代さんのデビュー作を読みました。

角田さんは"「女性」や「家族」を書くのが上手い作家さん"というイメージが
ありましたが、デビュー作からその傾向があるようです。

幸福な遊戯 (角川文庫)幸福な遊戯 (角川文庫)
(2003/11)
角田 光代

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ハルオと立人と私。恋人でも家族でもない3人が始めた共同生活の唯一の
禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」。本当の家族が壊れてしまった
私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった・・・。
表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。
今もっとも注目を集める作家の原点がここにある。記念碑的デビュー作。
〜amazonより〜

3つの短編の主人公はどれも20代の女性で、皆、今の生活に不満や不安を
抱えています。表題作「幸福な遊戯」では男女3人の共同生活に、
「無愁天使」では買い物に、「銭湯」では劇団員を目指すという夢に縛られている
女性が出てきます。

縛られている、というのは正しくないかもしれませんが、彼女たちは自由になること
を怖がっているように見えました。固執することで、自分を保っているような。

なんでそんな風に考えるのだろうと読んでいて辛くなる部分と、
なんとなくわかるなぁと共感する部分のバランスが絶妙でした。

ただ、最近の作品よりもずっしりと重いというか、倦怠感があるのが印象的でした。
その中にも、希望とまでは言えないけれど、微かな光が見えたのが良かった。
そして、その光を思わせるような装丁の写真も良かったです。
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